稲荷山古墳の築造は六世紀(1)

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関東地方の前方後円墳の特色
=古い形式の主体部=稲荷山古墳

「さきたま古墳群の全体、それと将軍塚古墳(明治26年発掘)など終末期の古墳(横穴式石室が含まれる)ので、最初は横穴式の石室を探した。ただ、前方後円墳の場合、特に関東地方では古い形式の主体部が新しい古墳にも残されていることがある。」そうです。

いわば棺・あるいは槨的なものが墳丘の上に営まれることもあるので、(墳丘の)上も調べたそうです。


『稲荷山古墳』(埼玉新聞社)より座談会の抜き書き」

柳田 あの近所(さきたま古墳群)にある古墳を見ますとほとんど横穴なのですね。そこで横穴を想定して準備をしたのですが、斎藤先生から、上方の竪穴も想定しなきゃと注意されて、それが当たったのです。

  (略)

柳田 出土品の話にいきますと、特に多いなと思ったのは武器、武具の類と馬具ですね。それから、三種の神器(鏡・勾玉・剣)。武器では鉾から太刀(直刀)、剣、挂甲、鉄鏃が束になったのがあるのです。馬具も作りのいい鈴杏葉(すずぎょうよう)、環鈴、これは埼玉県では初めてです。

斎藤 あのような鈴杏葉は若干例がありますが、関東地方では面白い例だと思うのです。群馬県の宝塔山(ほうとさん)古墳ですが、江戸時代かにいい鈴杏葉が出ています。ここの場合は、あれより下るのじゃないかと思います。
この古墳の副葬品で特色のある物は、(象嵌のある)剣は別としても、馬具ともう一つは帯金具。長方形の板でバンドに直接取り付ける、龍のような文様があるのです。
熊本の江田船山古墳と装身具を比べてみますと、江田船山の方には冠が出ているのです。純金のたれ飾りのついている耳飾も出ています。

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(江田船山古墳の冠や耳飾・馬具は大伽耶系とされる。同じ大伽耶系の馬具が出土するのが、稲荷山・江田船山・和歌山大谷古墳)

斎藤 帯金具となると、同じようなものですね。
東国の古墳の被葬者というのは江田船山古墳に比べると帯金具は別として、やや質素というか、東国らしいと思うんです(略)

柳田 埼玉県内には前方後円墳が百十いくつかあると思うのですが。金井塚さん、あのような副葬品について、その辺りは。
金井塚 今度の辛亥鉄剣ではいろんな方のご意見が出されました。斎藤先生が『重要なのは考古学的な研究の事実の上に立って、問題を考えていかなければならない』といわれましたが、わたしも同感です。(略)現状では銘文が独り歩きしているような現象と思います。あくまでも考古学の成果が基礎になるのではないかと。(略)
最初に問題にしたいのは、稲荷山古墳がいつ造られたのかということなのです。築造年代は二転三転しました。最初の発掘の段階では六世紀の半ばないしそれ以前。次に埼玉県教育委員会の「稲荷山古墳発掘概報」では六世紀前半ということになった訳です。理由は(書紀の)安閑紀の国造の争乱に結び付けて、その頃の築造だろうとなったのです。三回目が「考古学ジャーナル」に発表された(栗原文蔵氏)五世紀の終末から六世紀の初頭というふうに、二転三転したのです。
いま文献の方のご意見を見ていますと、どうも五世紀の終末から六世紀の初頭の上に立って考えられているようです。
(略)私は六世紀初頭の築造だと考えざるを得ないような気がするんです。確かに出土遺物の大部分は五世紀代に持って行っていいだろうと思うのですが、その全てが年代比定がなされていないのです。鏡にしても、同じものが八幡観音塚古墳(群馬県高崎)出ていますから、五世紀というわけにもいかない。須恵器や馬具、埴輪、墳丘構造も考えてみる必要があるでしょう。
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金井塚 「須恵器」は出土状態がはっきりしないが、関西では五世紀のものとされる。が、北武蔵では竪穴住居から出ている(大西遺跡)三窓一段透の脚台付坏と坩(つぼ)は、「稲荷山古墳の須恵器とほとんど同じ時期と考えて間違いない」(さきたま資料館・金子真土斯)ということでした。大西遺跡は鬼高式土器を出す竪穴住居なので、六世紀初頭の竪穴住と考えていいだろうと思います。
稲荷山古墳から土師器も出ていますが、鬼高式土器だったと思います。六世紀初頭…かなり築造時期の決め手になると思います。
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金井塚 もう一つ鈴杏葉(すずぎょうよう)ですが、立派なもので、これに類似する鈴杏葉は群馬のもの、茨城県の国松古墳のものによく似ています。埼玉県では目沼九号墳から出た鈴杏葉もそっくりです。
問題は、ここからも鬼高式土器が出ているのです。一緒に副葬されていますから、時期は六世紀ということになります。

(国松古墳の鈴杏葉 と目沼九号墳の鈴杏葉)
a0237545_00214878.jpg
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なるほど、鈴が三つついてるのですね。そういえば、
鈴杏葉って埴輪の馬を飾っていたような  

どこかで見たことがあると思ったら、江田船山古墳に出土していたと思います、鈴杏葉が。

稲荷山古墳の築造時期の決め手は何でしょう

古墳の副葬品には古いものもあるけれど、新しい時期の物もあるから、築造時期を考える時には一番新しいものを決め手にするということですね。
稲荷山古墳の墳頂部には二つの亡骸を納める施設(攪乱された粘土槨・礫槨)があったそうですから、そちらも見ましょう。
埴輪も築造時期の決め手になるかも知れませんね。
しばらく、出かけていたのでブログを休んでいました。
また、よろしくお願いします。

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by tizudesiru | 2017-08-24 00:34 | 277江田船山古墳と稲荷山古墳 | Comments(0)
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